(2005年11月21日)
市川市では、今年度事業として、全国的にもめずらしい訪問方式による「分譲マンション実態調査」を実施中です。しかし、「広報いちかわ」やホームページで告知し調査員が調査対象マンションを訪問しても、調査の目的などの周知が不十分なことから回答を拒否されるケースも多く、今後に課題がのこされる結果となりそうです。
全国にある分譲マンションは400万戸を超え居住者数は総人口の約1割にあたる1000万人以上とみられていますが、建て物と敷地が区分所有という複雑な形態をとることもあり、その実態を把握する正確なデータは現在のところ存在しません。2000(平成12)年に「マンション管理適正化法」が制定され、国と地方自治体は実態の把握と適切な施策を実施することが義務づけられました。
市川市では、平成12年度に、郵送によるアンケート形式で簡易な実態調査を実施しています。今回の調査は、市・地域街づくり推進課が担当し、首都圏マンション管理士会が調査業務の委託をうけて、市内全域の3階建て以上の分譲マンション(647棟)を対象として実施されました。
調査票は調査員を委託されたマンション管理士が配布と回収にあたり、回収時には原則として管理組合理事長などの役員と面談して、調査票記入の補助のほかマンション管理上の相談もうけることになっています。こうした訪問調査による本格的な分譲マンションの実態把握は、全国的にもめずらしいこころみとして注目されていました。
しかし、この4月から個人情報保護法が完全施行されてプライバシー保護に世論が極度に敏感になっていることは、調査に対する想定外の逆風となったようです。ことし10月に実施された国勢調査で、委託調査員への不信や回答拒否が例年になく多く調査に支障をきたしたのと同様、マンション調査でも「この調査は強制なのか任意なのか」という質問が調査員や管轄部署に多くよせられました。また、管理会社レベルで調査への非協力を打ちだすばあいもあり、悪質な囲いこみに対しては市から改善要請を出す必要もあったとのこと。
調査票の回収は11月下旬までおこなわれ、調査結果はマンション生活をより快適にする施策を策定するあたり重要な基礎資料となります。近隣では、浦安市がことし7月に「集合住宅実態調査報告書」を公表し、千葉市でも同様の調査を実施する予定です。マンションの区分所有者と管理組合は、今後こうした行政の要請に応えるとともに、各種支援策を有効に活用することが必要となりそうです。
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