【トピックス】

三番瀬再生計画

(2004年3月)

千葉県の「三番瀬再生計画検討会議」(三番瀬円卓会議)は、1月22日、2年間にわたる活動の成果として「三番瀬再生計画案」をまとめ堂本暁子・千葉県知事に提出しました。徹底した住民参加と情報開示による円卓会議で公共事業の計画を策定した点は“画期的”との評価が多い一方、今後計画を実行するうえでの問題点が残されているとの指摘もあるようです。

注目される“千葉モデル”方式

三番瀬は、東京湾のいちばん奥にのこされた約1800ヘクタールの干潟と浅海域です。東京湾の干潟は、その9割が埋めたてにより失われ、三番瀬もいちぶがすでに埋めたてられています。千葉県では、市川市・浦安市・船橋市の沖合いをさらに740ヘクタール埋めたてる土地造成を計画していましたが(のちに101ヘクタールに計画縮小)、2001年に堂本知事が就任し、埋めたて計画を白紙に戻すことが表明されました。

県は知事の意向を受けて、2002(平成14)年1月に三番瀬円卓会議を設置。土地造成に代わり自然環境を再生する計画を、専門家や地元住民、漁業者、環境保護団体などが主体となって検討するという、全国ではじめてのこころみに着手しました。「ちば県民だより」2004(平成16)年3月号では、円卓会議の終了と再生計画案の概要を特集でとりあげ、今回の住民参加方式は「千葉モデル方式として全国的にも注目を集めている」と胸をはる堂本知事のことばを伝えています。

計画案の実行へ向けて

「円卓会議」は丸2年をかけて計22回開催。また、会議の下部組織として「護岸・陸岸」「海域」「制度」の各小委員会、小委員会の下に7つの「ワーキンググループ」を設置。さらに、別に「専門家会議」が設置され、小委員会などからの疑問に答える研究と調査、助言をおこない、これらすべての会合の合計はじつに1623回におよんだといいます。

行徳地区からは南行徳地区自治会連合の歌代素克・会長が「地元住民」として円卓会議と護岸・陸域小委員会に参加。このほか、さまざまな立場のメンバーが参加し激論を繰りひろげましたが、この間いちども多数決を行わず、総意で計画案を作りあげたということは特筆に値するでしょう(ただし、委員の辞任や中途退任・就任はあり)。

しかし、三番瀬円卓会議の岡島成行・会長は計画案「まえがき」で、ラムサール条約登録の問題と猫実川河口のあつかいなど「円卓会議が積み残した仕事も数多くあります」と書いています。計画案ではラムサール条約への登録促進を挙げているものの、円卓会議・小委員会でいちぶ委員から発言があったにもかかわらずこの問題が主要議題に採択されたことはなく、「漁業関係者の賛成が得られない」との理由で先おくりになったといいます。また、塩浜2丁目の護岸前面に土砂を投入して「干出域」(人口干潟)をつくる計画は、「海域をこれ以上せばめない」とする原則に反し、再生計画に対して寄せられたパブリックコメントでも55件が土砂投入に反対を表明しているといいます。

さらに、第二湾岸道路は三番瀬を通す以外に建設の方法がないという状況にもかかわらず、円卓会議ではついに議論されることがなかったといわれます。今後、円卓会議の報告を受けて千葉県が具体策を詰め、県議会で条例案の承認を得る過程で、これまでの議論を通じて明らかになった問題点を解決しつつ、政策の実行が着実にすすめられることが必要といえるでしょう。

図: 三番瀬周辺図(「ちば県民だより」より)

参考: 
千葉県三番瀬プロジェクトチームのホームページ
千葉の干潟を守る会のホームページ
三番瀬フォーラムのホームページ

MYOUDEN COMMUNITY SITE
Copyright (C) 2004 Myouden Planning L.P. All rights reserved. 無断複製を禁じます