建築基準法改正による住居換気の義務化

(2003年7月7日)

イラストは国土交通省パンフレットによる換気システムのイメージ住宅やビルなどのシックハウス対策をもりこんだ改正「建築基準法」が、7月1日に施行されました。

この法改正により、原則としてすべての建築物に、24時間換気システムなど機械換気設備を設置することが義務づけられます。住宅金融公庫でも、割増融資およびリフォームの融資額がアップする、換気設備に関するあたらしい技術基準を設定しました。

7月1日よりまえに着工した既存住居は改正法の適用をうけませんが、すまいの換気について見なおす良い機会といえるかもしれません。

シックハウス対策にかぎらず
快適で健康的な住環境を

建て物の建材や構造が多様化するなか、新築や改築後の住宅で、居住者が頭痛や吐き気、目や喉の痛みなどの症状を訴える例がここ数年増加しています。建て物内に居住することに由来する体調不良のため、一般に「シックハウス症候群」と呼ばれます。

今回の建築基準法の改正は、患者数の増加にともない社会問題化してきたシックハウスの防止がおもな目的です。原因となる化学物質の室内濃度を下げるため、建築物に使用する建材を規制し、換気設備の設置を義務づけました。住宅だけでなく、学校、オフィス、病院などすべての建築物が対象となり、国土交通省では政府広報パンフレットをとおして「シックハウス対策について知ってください」と訴えています。

シックハウスの症状は多様なうえ個人差があり、発生の要因やしくみには未解明の部分が多くあります。しかし、ことし4月には『日本医学界雑誌』でシックハウス症候群の診断基準が示され、やっと医学関係者のあいだでも病気として認知されたといえます(NPOシックハウスを考える会)。

改正建築基準法により、内装仕上げに使用する木質建材や壁紙、断熱材、接着剤、塗料などの建材は、ホルムアルデヒド発散量に応じて等級がつけられ、使用禁止または使用面積制限の規制を受けます。また、シックハウスの原因物質はホルムアルデヒドにかぎらず、トルエンやキシレンといった化学物質が建材や家具から発散することもあるため、換気回数0.5回/h(1時間で部屋の空気の半分が入れ替わること)以上の機械換気設備の設置が必要となります。

適切な換気は、シックハウスをふせぐだけでなく、温度の上昇によりカビやダニが好む環境をつくってしまうことの予防にもなります。とくに、気密性の高いマンションなどの住居では、適切な空気の流れをつくることが、快適で健康的な住環境をたもつうえで有効といえます。今後、新築住宅を中心に24時間換気システムが普及すれば低価格化も予想され、増改築やリフォームの際には換気設備の追加導入も検討した方が良いかもしれません。

参考: 住宅金融公庫のホームページ
     日本医師会のホームページ

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