大災害時、自主防災組織は機能するか?

(2003年6月23日)

写真は江戸川区・なぎさニュータウンの炊き出し訓練
出典: (財)消防科学総合センター「防災まちづくり大賞」平成12年度総務大臣賞

市川市消防局では、6月1日、自治会/町内会の自主防災組織や防災部などを対象とした「防災対策基本マニュアル」を策定しました。

このマニュアルは、災害や事故に迅速に対応するため、自治会などが災害対策本部を設置し、運用・指揮するうえで見のがしてはならない基本事項をまとめてあります。

大地震など大規模な災害が発生したばあいには、消防をはじめとする行政機関の活動は著しく制限されることが予測され、「自分たちのまちは自分たちで守る」という意識をもった地域住民の協力が必要不可欠と、マニュアルの目的には記載されていますが・・・。

阪神・淡路大震災の教訓は
「自分たちのまちは自分たちで守る」

大災害時の対応に大きな教訓をのこした阪神・淡路大震災から、すでに8年余りが経過。市川市でも、自主防災組織の結成や各種防災訓練などの災害対応の強化をはかってきました。しかし、その後も「阪神・淡路」ほどの被害はともなわないものの、芸予地震や最近の宮城県沖地震などが発生し、また地震以外にも水害など多くの災害が各地で頻発してしています。

今回のマニュアルは、こうした災害事例を「対岸の火事」とおもって見すごさないよう、また各自治会/町内会の事情に合わせて加筆・削除できるよう、基本事項を記載したものです。「災害時の対応について、問いあわせが最近増えてきたこともマニュアル策定のきっかけ」とのこと(市川市消防局・古賀防災課長)。

しかし、その内容はどちらかというと“組織論”に終始し、最終的には自治会レベルでの「防災計画」作成を推奨するもの。もしものばあいに大切なのは、組織の有無よりは、その組織が実際に機能するかどうかといえます。ふだんからの心がまえや具体的な災害対策・避難方法などについては、「いちかわL BOOK」(2001市民便利帳)巻末の「防災ハンドブック」の方が参考になりそうです。

また、身近な“自主防災”の具体例のひとつとして、江戸川区・なぎさニュータウンの防災会による取りくみが挙げられるでしょう。「なぎさ防災会」では、管理組合および自治会と協同で1996年から自主参加による防災組織を結成し、都市型マンションにおける総合的な防災体制づくりに励んできました。ソフトとハード両面からの積極的な活動と実績は、2000(平成12)年度の総務大臣賞を受けています。

参考: (財)消防科学総合センターのホームページ

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