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もとめられる「シックスクール」対策
江東区・元加賀小学校の教訓

(2003年5月26日)

写真は元加賀小学校のホームページ掲載の校舎全景東京・江東区の元加賀小学校で、校舎の改修工事後、「シックハウス症候群」の原因物質となる高濃度のトルエンが検出され、5月12日までに学校機能全体を廃校となった旧・白川小学校の校舎に移して避難する事態となっています。

シックハウスは、これまでおもに新築の住宅やマンションでの被害が問題となってきましたが、住宅にかぎらず建築物全般で、さらに新築時にかぎらず改修やリフォームの際にも、十分に注意する必要があることが実証されたかたちです。

増えるシックスクールの被害
ただし対策は今後の課題

「シックハウス症候群」とは、住宅の建材や塗料などから発生する化学物質に起因する健康被害を指し、一般的に頭痛やめまい、吐き気などの症状がみられます。放置して悪化すると、日常生活にも支障をきたす「化学物質過敏症」になるケースもあり、近年患者数の増加とともに社会問題となってきました。

おなじ病状は住宅にかぎらず学校や職場でも起こり得るため、最近は「シックスクール」や「シックビルディング」ということばも使われるようになっています。いずれも、ホルムアルデヒドやトルエン、シチレンなどの揮発性化学物質が原因となることが多く、十分な換気で発生量が減少するとされています。

いわゆるシックハウス対策として、昨年「建築基準法」が改正され、ことし7月1日から施行されます。この改正により、住宅については、原則として常時作動する機械換気設備の設置が義務づけられることになります。一方、シックスクールについては、住民団体の要望などを受けて埼玉県教委がことし3月に対策マニュアルを策定し、安全な建材と塗料の使用や十分な換気期間の設定などの規制を盛りこんでいます。しかし、全国的にはシックスクールに対する認知度がまだ低いため、積極的に対策をすすめる自治体は少ないのが現状です。

今回、江東区立元加賀小学校で問題となったトルエンは、油性塗料にふくまれる有機溶剤で、その使用自体は禁止されていません。また、代替え品となる水性塗料は耐久性や防カビ性に劣るだけでなく価格も高いことから、一斉に切り替えることは難しいとされています。

ことし4月27日、日本小児科学会で東京慈恵会医科大学と昭和大学のグループが発表した調査結果によれば、東京都心部の小中学生は地方にくらべてシックハウスの症状が出やすく(東京・港区と新潟・津波町の比較で約2倍)、一戸建てよりマンションの方が症状を起こしやすい。また、アレルギー症状のある子どもはとくに注意が必要とのことです。

新築のマンションが多い妙典地区では、シックハウス対策として入居まえの環境チェックと十分な換気が必要といえます。また、改修やリフォームの際には、できるだけ安全な建材や塗料を使用することを、業者と事前に確認することが得策でしょう。シックスクールに関しては、江東区などの事例に学び、千葉県および市川市が積極的な対策を打ちだすことが期待されるところです。

参考: 東京新聞「検査結果軽視、トルエン汚染」(2003年5月9日)
     化学物質過敏症支援センターのホームページ


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